今回は、色が変わる魅惑の宝石、アレキサンドライトについてお話をしていきたいと思います。
ひとつの宝石で色が変わるってとっても神秘的ではないですか?
どのような色の変化をして、なんで色が変わるのか大変興味深いアレキサンドライトの魅力をご紹介させていただきます。
まず下の画像をご覧ください、この2つの宝石は、実は全くの同じ宝石なんです。
これがアレキサンドライトです、画像のアレキサンドライトはその中でも最高峰といわれるロシア産のアレキサンドライト。
多面性を持つ宝石で、ある一定の条件のもとで、画像の様に赤紫系やブルーグリーン系の色に、宝石自身の色が変わる大変魅力的な宝石です。
アレキサンドライトの歴史はまだ比較的浅く、大体200年前後といわれておりますが、その稀少性と変色効果の美しさから「宝石の王様」なんて呼ばれております。
このアレキサンドライトの名前の由来、なぜ色が変わるのか等などアレキサンドライトの不思議に迫っていきたいと思います。
アレキサンドライトの名前の由来
まずこのアレキサンドライト、上質な物であれば価格はとてつもない価格になるほどのゴージャスな宝石ですが、名前の由来も割とゴージャス!
アレキサンドライトは比較的歴史の浅い宝石で、1830年にロシア帝国のウラル鉱山のエメラルド鉱で、ほかの鉱物と一緒に発見されたのが始まりといわれております。
そのなかで、昼の太陽の下では青みがかったグリーン(ピーコックグリーン)、夜のローソクの明かりの下では赤ワインのような色(バイオレットカラー)へ変色したのです。
大変珍しかったことから、当時のロシア皇帝ニコライ1世に献上されることになりました。
偶然にも献上された日が、ロシア皇太子(アレキサンダー2世)の誕生日であったこともあり、その名にちなんで「アレキサンドライト」と名付けられたといわれております。
アレキサンドライトの産地
現在のアレキサンドライトの主な産地は、ブラジル、スリランカ、ロシア、ミャンマー、インド、マダガスカル、タンザニアなど。
中でもロシアのウラル鉱山で取れるのアレキサンドライトは優れた変色効果が見られる為希少価値が高く、現在では産出量が非常に少ないため、滅多に市場に出回りません。
もしロシア産のアレキサンドライトを手にすることができれば相当ラッキーといえるでしょう。
また、ブラジル産も透明度と変色性が上質で希少価値が高いとされていますので、上質なアレキサンドライトをお探しであれば、比較的手に入りやすいブラジル産を選ぶとよろしいと思います。
アレキサンドライトが変色するわけ
それでは、アレキサンドライトは何故、どのようにして変色をするのでしょうか?とても疑問に思いますね。
今から、その理由を解き明かしていきます!
うえの図は、アレキサンドライトが温度の違う光(K=ケルビン)を反射する割合と吸収する光の割合を示しているんです。
左の太陽光(色温度が5000K以上)では、ブルーや緑を多く多く反射するので、ブルーグリーン系のカラーを見せるんですね。
逆に、右側の白熱級や、夕焼け時の(色温度5000K以下)の時は、赤やオレンジ系の光を多く反射するので、赤や紫系の色を見せるんです。
赤や紫系は、太陽の自然光よりも人工的な白熱球や、ハロゲンライト、ローソクの明かりなどの時に最もよく見えるんですね。
アレキサンドライトがもつ変色効果の理由は光の「反射」と「吸収」がポイントだったわけです。
代表的な2色(緑や赤系)のほかにも、いろいろな光にあててみると、アレキサンドライトが様々な色を見せますので、変色の違いを楽しんでみるのも面白いですよ。
アレキサンドライト以外にも変色する宝石がある
これほどまでに、綺麗で魅惑的な色に変色する宝石はアレキサンドライト以外には存在しないと思いますが、アレキサンドライトもすべてが変色効果を楽しめる物ではございません。
ある程度上質な物でなければ、単に赤かったり、青かったりという変色しないアレキサンドライトも多数存在するんです。
本当に綺麗でくっきりと変色効果が楽しめるアレキサンドライトといいますと、稀少すぎて手に入りづらいのと、一般人ではとても手に入れることができないほどに高価なんです、余裕で最上級のダイヤモンドの価格を超えるアレキサンドライトも存在します。
なんて考える方も少なくないと思いますが、実はアレキサンドライトにもほどほどに色変化が楽しめる割と低価格帯のものや、上質なアレキサンドライトと同様の楽しみ方をご堪能いただける人工アレキサンドライト、ほかにも色が変わる天然石など変色効果を楽しめる宝石はいくつく存在するんです。
それをいくつか紹介いたします。
京セラクレサンベール
京セラ株式会社が人工的に作り出す、アレキサンドライトです、シンセティックアレキサンドライトや合成アレキサンドライトといわれます。
人工といいましても、天然アレキサンドライトと全く同じ「クリソベリル(金緑石)」を原料としているので、成分は天然アレキサンドライトと全く同じで、人工で作られただけあって、キズもなく透明度も抜群です。
もちろん変色効果も楽しめて、同じレベルの天然アレキサンドライトと比べると価格は10分の1から数十分の1とかなり割安です。
わかりやすく言うと、「天然アレキサンドライト=天然マグロ」「合成アレキサンドライト=養殖マグロ」ということになります。
カラーチェンジガーネット
こちらはアレキサンドライトではないのですが、アレキサンドライトと似たような色変化をするガーネット、中でも「ベキリーブルーガーネット」はアレキサンドライトと色もかなり近いので、アレキタイプガーネットとも呼ばれる宝石です。
色変化の仕方(光の種類)もアレキサンドライトと同じ条件での色変化をいたします、価格も京セラクレサンベールと大体同額位になりますので、天然にはこだわりたいけど色が変わればいいという方はこちらもおすすめです。
人工カラーチェンジコランダム
こちらはコランダム(ルビーやサファイアと同じ素材)を再結晶化させて色変化効果を出したものになり、合成アレキサンドライト(クリソベリル)で作るよりも安価で安定してつくられるため、代用品の人工アレキサンドライトとして親しまれている宝石です。
価格は、天然アレキサンドライトと比べると、数十分の1から、百分の1程度で購入できて手軽に色変化が楽しめるので、これはこれで人気があります。
ほかにもカラーチェンジをする宝石は様々ございますが、異常がアレキサンドライトに近い色変化を楽しめる宝石となっております。
興味のある方は色々調べてみると楽しいと思います。
プロが勧めるアレキサンドライトの選び方
一つの宝石で様々まカラーがお楽しみいただける「アレキサンドライト」の魅力、伝わりましたでしょうか?
アレキサンドライトを選ぶポイントは、第一優先はカラーチェンジの鮮烈さ、カラーチェンジこそがアレキサンドライトの最大の魅力ですので、アレキサンドライトを検討する際には色変化のはっきりしたものを選びましょう。
次にインクルージョン(内包物や割れ)の少ない物、そして色が濃くて黒みのない物といった順で選ぶと素敵なアレキサンドライトに出会えることかと思います。
ルース(石だけ)の状態で売られているアレキサンドライトも多数ございますので、先に気に入ったルースだけを購入して、自分だけのジュエリーをつくるのもおすすめ!
心まで満たされる魅惑のアレキサンドライトに是非であってみてください。